異界巡礼

BIZARRE JAPAN

名鑑華厳の滝

S P O T / SPOT-233

聖地・ミステリー

華厳の滝

けごんのたき

栃木県日光市、中禅寺湖の水が落差97メートルを一気に落ちる滝で、袋田の滝・那智滝とともに「日本三名瀑」に数えられる。中禅寺湖は男体山の噴出物が谷を堰き止めて生まれた堰止湖で、その水が崩れやすい岩盤を浸食して華厳渓谷と滝を形づくった。景勝地としての名声に加え、1903年(明治36年)に一高生・藤村操が滝上の樫の木に遺書「巌頭之感」を刻んで投身した事件で広く知られ、近代日本の煩悶青年・哲学的自死の象徴として文学史・思想史に刻まれた。岩盤を地下100メートル下る観瀑エレベーターから、滝壺をほぼ正面に望むことができる。

華厳の滝
Wikimedia Commons / Jordy Meow / CC BY-SA 3.0

H I G H L I G H T S

見どころ

  • 01落差97メートルを一条で落下する、日本三名瀑の一つに数えられる直瀑
  • 02岩盤を地下100メートル貫くエレベーターで滝壺正面の観瀑台へ降りられる構造
  • 031903年の藤村操「巌頭之感」投身に始まる、近代日本の哲学的自死を象徴する場所性

A C C E S S / M E T A

基本情報

所在地
栃木県 日光市
住所
〒321-1661 栃木県日光市中宮祠2479-2
拝観料
観瀑(無料)。華厳滝エレベーターは大人570円・小学生340円・未就学児無料
時間
華厳滝エレベーター 8:00〜17:00(3〜11月)/9:00〜16:30(12〜2月)。観瀑台は時間外も無料区域あり
状態
現存
亀山から
亀山市から車で約4時間30分(新名神・東名・北関東道経由でいろは坂を上る)。または鉄道で名古屋→東京→日光(東武)→東武バスで中禅寺湖畔、片道5〜6時間。
最寄駅
東武日光線「東武日光駅」またはJR日光線「日光駅」(バス利用)
徒歩
5分
駐車場
県営華厳の滝第一・第二駐車場あり(有料・普通車1日上限500円ほど、計約160台)。
所要
30分〜1時間(エレベーター利用時)

D E E P D I V E

深掘り

歴史

歴史

華厳滝(けごんのたき)は栃木県日光市にある落差97メートル・滝幅約7メートルの滝で、中禅寺湖を水源とする。中禅寺湖は男体山の噴出物により谷が堰き止められて形成された堰止湖であり、華厳渓谷はその水が華厳滝・阿含滝として崩れやすい谷を浸食することで形づくられた。1931年(昭和6年)に「華厳瀑および中宮祠湖(中禅寺湖)湖畔」として国の名勝に指定され、2007年(平成19年)には日本の地質百選にも選定されている。袋田の滝(茨城県)、那智滝(和歌山県)とともに「日本三名瀑」の一つとされる。華厳滝 - Wikipedia, 華厳滝エレベーター 公式

文化的背景

文化的背景

華厳滝が単なる景勝地を超えて語られるのは、1903年(明治36年)5月22日、第一高等学校の生徒・藤村操が滝近くの樫の木の樹皮を削り、「巌頭之感」と題する遺書を残して投身自殺した事件による。「万有の真相は唯だ一言にして悉す、曰く、不可解」と記されたこの遺書は、立身出世の道を歩むはずの若者が哲学的懊悩の果てに死を選んだ象徴的事件として、当時の社会に大きな衝撃を与えた。藤村の死後数年のうちに後追いの投身が相次ぎ、「自殺の名所」という評判が立ったとされる。この出来事は近代日本の「煩悶青年」を語るうえで欠かせない事例であり、文学・思想の文脈でしばしば参照される。心霊・怪奇の文脈ではなく、近代の精神史・自死をめぐる思想史の対象として理解するのが妥当である。藤村操 - Wikipedia, 華厳滝 - Wikipedia

地元視点

地元視点

現在の華厳滝は日光屈指の観光資源として整備され、駐車場側の無料観瀑台に加え、丸沼(株)が運行する華厳滝エレベーターで岩盤を地下100メートル下り、滝壺正面の観瀑台から間近に滝を望める。教育旅行の見学・体験スポットとしても案内され、紅葉期や冬の凍結時には特に多くの来訪者を集める。明智平ロープウェイの展望台からは華厳滝・中禅寺湖・男体山を一望できる。華厳滝エレベーター 営業案内, 日光旅ナビ 華厳滝エレベーター営業所

ベストシーズン

ベストシーズン

新緑(5〜6月)と紅葉(10月中旬〜下旬)が白眉。厳冬期は滝が部分的に凍結し独特の景観になる。エレベーターからの観瀑は午前の順光が見やすい。

撮影のコツ

撮影のコツ

エレベーター下の観瀑台からは滝壺を正面に捉えられ、晴天午前は虹が出やすい。上部の無料観瀑台や明智平展望台からは滝・湖・男体山を絡めた俯瞰が可能。水量は季節・放流で変わるため、迫力重視なら雪解け期や雨後が狙い目。

注意事項

注意事項

藤村操の事件をはじめ、過去の自死にまつわる場所性があるが、心霊・煽り目的の扱いは厳に慎むべきである。観瀑台や柵の外への立ち入りは危険であり禁止。冬季は路面・観瀑台の凍結に注意し、いろは坂の積雪・渋滞にも備えること。静かに自然と歴史を見つめる姿勢で訪れたい。

関連作品

関連作品

  • - 藤村操「巌頭之感」(1903年)— 滝上の樫の木に刻まれた遺書。近代文学・思想史で繰り返し論じられる。藤村操 - Wikipedia
  • - 浮世絵:渓斎英泉ほか、日光・華厳滝を描いた名所絵が江戸後期に制作された。華厳滝 - Wikipedia
  • - 名勝・地質百選:1931年名勝指定、2007年日本の地質百選選定。華厳滝 - Wikipedia

トリビア

トリビア

  • - 中禅寺湖は男体山の噴火に伴う堰止湖で、その出口に華厳滝がかかる。
  • - 「華厳」の名は仏教経典『華厳経』に由来するとされ、日光の山岳信仰と結びつく。
  • - 藤村操の遺書「巌頭之感」の影響を受けた木は、後追い自殺の続出を受けて当局により伐採されたと伝わる。

外部レビュー

外部レビュー

出典

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