異界巡礼

BIZARRE JAPAN

名鑑佐田西出 天王さんのお社塔

S P O T / SPOT-258

土俗・奇祭

佐田西出 天王さんのお社塔

さたにしで てんのうさんのおやしろとう

明和町佐田の西出集落の路傍に立つ、麦藁と竹だけで毎年つくり替えられる小さな祠状の構造物。地元では牛頭天王を祀る「天王さん」と呼ばれ、津島神社の神札を内部に祀る。孟宗竹四本を約六十センチ間隔で地面に据えて柱とし、高さ約二メートル、その上に毎年新しく葺く麦藁屋根を載せる。屋根には三本の鰹木が表され、内部高さ一・三メートルほどに竹を組んだ棚を設けて祠とする。毎年七月十四日の天王祭を前に、集落の男性全員(約三十世帯・三十人)が前年のお社を見本に分解・複製して建て直す。屋根は毎年、竹の柱は二年ごとに新調される。常設の社殿ではなく、一年限りの素材で社を仮設し続けるという更新の作法そのものが信仰の核であり、平成三十一年(二〇一九)に明和町の無形民俗文化財に指定された。

佐田西出 天王さんのお社塔
出典: 文化遺産オンライン(文化庁)(https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/409255)※掲載許諾申請中

H I G H L I G H T S

見どころ

  • 01麦藁と竹だけで組まれた高さ約2メートルの祠状構造物が、住宅地のT字路の突き当たりに忽然と立つ意外性
  • 02毎年葺き替えられる麦藁屋根に三本の鰹木が表され、簡素な素材で神社建築の意匠を写しとっている造形
  • 03前年のお社を分解して見本とし、集落の男性全員で複製・再建するという『一年限りの社』の更新作法

A C C E S S / M E T A

基本情報

所在地
三重県 多気郡明和町
住所
三重県多気郡明和町大字佐田字西出
拝観料
無料(屋外・常時見学可)
時間
屋外のため見学自由
状態
現存(毎年再建・継承中)
亀山から
車で約45〜55分(名阪国道・伊勢自動車道経由で松阪・明和方面へ、佐田地区へ。最寄りは近鉄山田線で斎宮駅方面)
最寄駅
近鉄山田線「斎宮駅」(明和町中心部)
徒歩
0分
駐車場
専用駐車場なし(生活道路の路傍)
所要
15〜30分

D E E P D I V E

深掘り

歴史

歴史

「佐田西出 天王さんのお社塔」は、三重県多気郡明和町大字佐田字西出(上御糸地区)に伝わる民俗行事と、それによって毎年つくられる祠状構造物を指す。麦藁と竹を素材に、孟宗竹四本を約六十センチ間隔で柱とし、高さ約二メートル、上部に毎年新調する麦藁屋根を葺いて三本の鰹木を表す。内部高さ一・三メートル付近に竹を組んだ棚を設けて祠とし、津島神社の神札を祀る。建立は毎年七月十四日の天王祭の前に、西出集落の男性全員(約三十世帯・三十人)が前年のお社を部分別に分解したものを見本として複製・再建する。屋根は毎年、柱は二年ごとに取り替えられる。平成三十一年(二〇一九)三月七日に明和町の無形民俗文化財に指定された。完成後は集落の全戸に小型の神札が配られて行事が終わる。佐田西出天王さんのお社塔 - 明和町, 佐田西出 天王さんのお社塔 - 文化遺産オンライン

文化的背景

文化的背景

祀られるのは牛頭天王(津島神社の祭神)で、夏に疫病退散を祈る天王信仰(祇園信仰)の系譜に連なる。各地の天王祭・祇園会が神輿や山車を出すのに対し、ここでは恒久的な社殿を建てず、麦藁と竹という朽ちる素材で一年限りの社を毎年つくり直すという、きわめて簡素で循環的な形式をとる点に特色がある。前年の社を見本に分解・複製して継承する方法は、技術と作法を口伝・実技で次代へ渡す民俗的な仕組みであり、農村の素材(麦藁)と在来の竹を用いて神社建築の意匠(鰹木・屋根・祠)を象徴的に写しとる造形文化としても興味深い。佐田西出 天王さんのお社塔 - 文化遺産オンライン, 佐田西出天王さんのお社塔 - 明和町

地元視点

地元視点

建立と継承は西出自治会(集落の男性全員)が担い、毎年の葺き替えと二年ごとの竹改修を共同作業として続けている。前年のお社を分解したものを見本に、部分ごとに作り直すという継承方法が地元で守られており、完成後には集落の全戸へ小型の神札が配布される。常夜灯の石碑のかたわら、集落中心部の道路が交差するT字路の突き当たりに立てられ、地域の人々が手を合わせる対象となっている。佐田西出天王さんのお社塔 - 明和町

ベストシーズン

ベストシーズン

麦藁屋根を新調する天王祭前後(7月14日前後)が、最も新しく整った姿を見られる時期。盛夏に向けて藁が褪色していくため、初夏が観賞の好機。

撮影のコツ

撮影のコツ

T字路の突き当たりという立地を生かし、住宅街の石塀や常夜灯の石碑と一緒に引きで撮ると『路傍に忽然と立つ』意外性が伝わる。麦藁屋根の鰹木表現と竹柱の構造が分かるよう、やや低い位置からのあおり気味の構図も有効。生活道路上にあるため通行の妨げにならないよう注意する。

注意事項

注意事項

生活道路上・私有地に近接した路傍にあるため、住民の生活と信仰の対象であることに配慮する。構造物には触れず、私有地に立ち入らない。駐車スペースは乏しいので近隣への迷惑駐車を避け、見学は短時間で静かに行う。

関連作品

関連作品

トリビア

トリビア

  • - 屋根は毎年葺き替え、竹の柱は二年ごとに新調される『使い捨て型』の社である。
  • - 屋根には神社本殿を象徴する『鰹木』が三本表現されている。
  • - 建立を担うのは集落の男性全員(約30世帯・30人)で、完成後は全戸へ小型神札が配られる。
  • - 内部には津島神社(牛頭天王)の神札が祀られる。

外部レビュー

外部レビュー

出典

出典