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名鑑八百比丘尼の塔(賀茂神社石造層塔)

S P O T / SPOT-251

聖地・ミステリー

八百比丘尼の塔(賀茂神社石造層塔)

やおびくにのとう(かもじんじゃせきぞうそうとう)

高知県須崎市多ノ郷の賀茂神社境内、一の鳥居のかたわらに立つ花崗岩製の石造層塔。総高4.3メートル、基礎は縦横48センチの立方体で、種子(梵字)を四面に薬研掘りする。種子の彫りや屋根の反りの特徴から鎌倉後期の造立とされ、高知県内では最古かつ唯一の石造層塔として、平成14年(2002年)に高知県保護有形文化財に指定された。現在は十二重だが、本来は十三重で、上部の双輪・請花・伏鉢・露盤を含む一層を欠くと考えられている。地元では「八百比丘尼の塔」と呼ばれ、人魚の肉を食べて八百歳まで生きたという八百比丘尼伝説と結びつけられるが、伝説は造立後に後付けされたものと考えられている。仏教の供養塔という本来の性格と、不老長寿伝説という民俗的想像力が一基の石塔に重なる点に特色がある。

八百比丘尼の塔(賀茂神社石造層塔)
出典: 奥四万十時間(高知県奥四万十エリア観光ガイド)(https://okushimanto.jp/tourism/0047)※掲載許諾申請中

H I G H L I G H T S

見どころ

  • 01鳥居脇に屹立する総高4.3mの花崗岩製層塔(十二重・本来は十三重)
  • 02四面に薬研掘りされた種子(梵字)と、鎌倉後期らしい屋根の緩やかな反り
  • 03高知県下最古かつ唯一の石造層塔という稀少性
  • 04供養塔が「人魚を食べた尼」の八百比丘尼伝説を背負うという民俗的二重性

A C C E S S / M E T A

基本情報

所在地
高知県 須崎市
住所
〒785-0009 高知県須崎市多ノ郷甲1780(賀茂神社境内)
拝観料
無料
時間
終日参拝可(境内・常時拝観可)
状態
現存
亀山から
車で約4時間40分(東名阪・新名神→明石海峡大橋経由で四国へ、高知自動車道・須崎東ICから約10分)。公共交通はJR亀山→名古屋→(新幹線・特急乗継)→JR多ノ郷駅、合計約6時間。四国・高知県と遠隔のため車での日帰りは負担が大きく、高知泊が現実的。
最寄駅
JR土讃線「多ノ郷駅」
徒歩
15分
駐車場
境内・周辺に駐車スペースあり(台数限定)
所要
20〜40分(境内・塔の見学)

D E E P D I V E

深掘り

歴史

歴史

賀茂神社石造層塔は、種子の彫りや屋根の反りといった様式の特徴から鎌倉後期の造立と推定される花崗岩製の層塔である。須崎市の文化財解説は「高さ4.3m、基礎は縦横48cmの立方体」「県下最古のもので、唯一の石造物である」とし、平成14年(2002年)に高知県保護有形文化財に指定されたと伝える。須崎市の文化財 現在は十二層だが、地誌『南路志』の記載などから本来は十三重であり、上部の双輪・請花・伏鉢・露盤を含む一層を欠失したと考えられている。塔心の四面には種子(梵字)が薬研掘りされているが、解体・再建の過程で位置が入れ替わっているという。茶凡遊山記

文化的背景

文化的背景

石造層塔は本来、経塚や追善供養のために造立される仏教遺物であり、この塔も鎌倉後期の供養塔として建立されたとみられる。一方、地元では「八百比丘尼の塔」と呼ばれ、人魚の肉を食して八百歳の長寿を得た尼の伝説と結び付けられてきた。研究者はこの伝説を「造立後に付加されたもの」と評価しており、無銘の古塔に後世の口承が重ねられていく民俗的過程の好例といえる。八百比丘尼伝説は若狭(福井県小浜)を中心に全国に分布する不老長寿説話で、本塔はその西日本における一受容地点としても位置づけられる。茶凡遊山記, 奥四万十時間

地元視点

地元視点

賀茂神社は多ノ郷など六か村の総鎮守「加茂大明神」として崇敬され、明治元年に「賀茂神社」と改称された旧社である。境内では石塔のほか、10月20日前後に奉納される県無形民俗文化財「多ノ郷の太刀踊り」も知られ、地域の祭礼の核となっている。塔をめぐっては、舟便で運ばれてきた塔を須崎の浜で荷揚げ中に屋根の一層を誤って海中に落とし、その場所を「台床」と呼ぶという伝承も語り継がれており、欠損という事実そのものが地元の物語に取り込まれている。奥四万十時間, こうち旅ネット

ベストシーズン

ベストシーズン

終日参拝可。石塔の彫りと屋根の反りを見るなら、斜光で陰影が立つ午前〜午後の晴天が最適。10月20日前後は「多ノ郷の太刀踊り」が奉納され、神社全体が活気づく。

撮影のコツ

撮影のコツ

鳥居・拝殿への石段を背景に、塔を画面左の前景に置くと層塔の全景と境内の奥行きが一枚に収まる(須崎市・観光協会の紹介写真もこの構図)。四面の種子(梵字)を撮るなら順光で正面から。塔は屋外常設で撮影制限はないが、参拝者の妨げにならないよう配慮する。

注意事項

注意事項

現役の神社境内にある供養塔であり、信仰の対象。よじ登る・触れて荷重をかける等は厳禁で、静かに拝観する。心霊スポットではなく文化財であることに留意する。境内には駐車スペースが限られるため、参拝者や祭礼への配慮が必要。

関連作品

関連作品

  • - 八百比丘尼伝説そのものが日本各地に分布する不老長寿説話群を形成しており、若狭(福井県小浜市)の空印寺をはじめ各地に「八百比丘尼」ゆかりの寺社・洞窟が存在する。本塔はその高知県側の事例として参照される。茶凡遊山記
  • - 地誌『南路志』が層数(本来十三重)に関する一次的記述を残しており、塔の復原研究の根拠とされる。茶凡遊山記

トリビア

トリビア

  • - 現在十二層だが本来は十三重で、欠けた一層は「須崎の浜で荷揚げ中に海へ落とした」と伝わり、その地を「台床」と呼ぶ。
  • - 八百比丘尼伝説は塔の造立後に付加されたものとされ、無銘の古塔に後世の口承が重なった例。
  • - 高知県内で最古かつ唯一の石造層塔という稀少な遺物である。

外部レビュー

外部レビュー

出典

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