S P O T / SPOT-211
千光寺・円空仏寺宝館
せんこうじ・えんくうぶつじほうかん/ Senkoji Temple / Enkubutsu Jihokan
標高約900mの袈裟山山腹に立地する高野山真言宗の古刹。4世紀の両面宿儺開創伝説を持ち、平安時代に真如親王が真言密教の祈願所として建立したと伝わる。境内の円空仏寺宝館には江戸時代の仏師・円空が貞享2年(1685)前後に滞在した際に彫った64体の円空仏を所蔵・公開しており、代表作「両面宿儺坐像」は岐阜県指定重要文化財。円空直筆の歌集『袈裟百首』原本も現存する。
H I G H L I G H T S
見どころ
- 01円空仏代表作「両面宿儺坐像」(貞享3年・1686年作、高87.5cm)を間近で拝観できる
- 02立木仁王像・三十三観音像など64体の円空仏を一堂に展示する寺宝館
- 03境内からの眺望:飛騨高山の里山と北アルプスの稜線が一望できる標高900m地点
A C C E S S / M E T A
基本情報
- 所在地
- 岐阜県 高山市
- 住所
- 〒506-2135 岐阜県高山市丹生川町下保1553
- 拝観料
- 本堂・庫裏:大人300円、小中高生100円 / 円空仏寺宝館:大人500円、団体400円、小中高生200円
- 時間
- 本堂9:00〜17:00(無休)/ 円空仏寺宝館9:30〜16:30(4月〜11月の土日月・祝のみ)
- 状態
- 営業中(冬季閉館あり)
- 亀山から
- 車で約2時間45分・東名阪→名神→中央道→長野道(松本IC)→国道158号→高山IC降下後、国道361号・県道経由で丹生川町へ。または新名神→東海北陸道→高山ICで約3時間。
D E E P D I V E
深掘り
歴史
歴史
千光寺の草創は4世紀に遡る。『千光寺記』(元和7年・1621年)によれば、仁徳天皇の御代に飛騨の豪族・両面宿儺(りょうめんすくな)が開創したと伝わる。両面宿儺は『日本書紀』仁徳天皇65年条に「一体に両面あり、四手四脚、頭に頸なし」と記された飛騨の豪族で、大和朝廷の支配に抵抗した存在とされるが、飛騨地域では農耕指導や仏法の守護者として英雄視されてきた。仏教寺院としての建立は平安時代初期、空海の弟子・真如親王によるとされ、山腹に19の伽藍・院坊が立ち並ぶ大伽藍を誇ったが、永禄7年(1564)武田信玄配下の武将による兵火で全焼。その後、天正16年(1588)飛騨の初代城主・金森長近が再興し、現在の堂宇に至る。江戸時代の仏師・円空(1632-1695)は貞享2年(1685)、54歳の時に千光寺を訪れ、当時の住職・舜乗と意気投合。千光寺を拠点に飛騨各地を巡錫し、約1年にわたる滞在で多数の仏像を彫り上げた。円空仏寺宝館所蔵の64体はこの時期の作で、円空の自筆歌集『袈裟百首』も残されている。(出典:飛騨高山旅ガイド https://www.hidatakayama.or.jp/spot/detail_1653.html、千光寺公式 https://senkouji.com/)
文化的背景
文化的背景
千光寺が所蔵する円空仏は、日本全国に現存する約5,000体の円空仏のうち最大規模のコレクションを誇る。円空は遊行僧として生涯に12万体の仏像を彫ると誓願を立てたとされ、貧しい村人が宿を提供する謝礼として小さな仏像を贈るなど、民衆救済を目的とした造像活動を展開した。千光寺の円空仏には、立木に梯子をかけて彫った「立木仁王像(阿・吽)」、円空自身の姿がモデルとも伝わる「賓頭盧尊者像」、病人への貸し出しに使われたという「三十三観音像」などが含まれる。また、両面宿儺信仰は現代のアニメ・漫画文化の影響でファン層の聖地巡礼の場にもなっており、伝統的な民俗信仰と現代文化が交差する地点としても注目される。(出典:三井記念美術館「魂を込めた円空仏」展図録 https://www.mitsui-kinzoku.com/、中川政七商店の読みもの https://story.nakagawa-masashichi.jp/45385)
地元視点
地元視点
丹生川地区の住民にとって千光寺は「お大師さまの寺」として日常的な信仰の場。円空仏寺宝館は土日月・祝日限定開館のため、平日は静寂な境内を独り占めできる。地元ガイドによれば、山上からの眺望は「空と里山と北アルプスが重なる場所」として飛騨屈指の絶景とされ、秋の紅葉期は格別。円空仏は写真撮影が一部許可されており、観光客が感動を共有しやすい環境が整っている。