S P O T / SPOT-186
大野寺・弥勒磨崖仏
おおのでら・みろくまがいぶつ/ Ono-dera Temple: Maitreya Rock-cut Relief
宇陀川の清流を隔てた対岸の岩壁に刻まれた像高11.5mの弥勒磨崖仏(国の史跡)。鎌倉時代・承元元年(1207年)に興福寺の僧・雅縁の発願で宋人石工・伊行末の一派が制作。笠置寺磨崖仏を模した線刻仏。境内は枝垂桜の名所でもある。
H I G H L I G H T S
見どころ
- 01国の史跡指定・像高11.5m・岩壁に光背形を掘り窪めた中に線刻で表した弥勒仏立像
- 02制作は承元元年(1207年)開始・後鳥羽上皇臨席のもと承元3年(1209年)開眼供養
- 03制作者:宋から来日した石工・伊行末(いぎょうまつ)の一派
- 04枝垂桜(小糸枝垂桜・樹齢300年)の名所として知られる
- 05木造地蔵菩薩立像(重要文化財・無実の娘を救った「身代わり地蔵」の伝説)
A C C E S S / M E T A
基本情報
- 所在地
- 奈良県 宇陀市
- 住所
- 奈良県宇陀市室生大野1680
- 拝観料
- 境内無料(磨崖仏見学無料)
- 時間
- 常時開放(寺院本堂拝観は要確認)
- 状態
- 現存(史跡指定・常時見学可)
- 亀山から
- 亀山ICから車で約55分(名阪国道→国道165号→県道28号経由)
D E E P D I V E
深掘り
歴史
歴史
伝承では白鳳9年(681年)に役小角(役行者)が草創・天長元年(824年)に空海が「慈尊院弥勒寺」を建立としているが・いずれも創建を宗祖に仮託した伝承であり史料的根拠は弱い。創建の正確な経緯は不明。確実な史実としては承元元年(1207年)に興福寺僧・雅縁が磨崖仏造立を発願・同3年(1209年)後鳥羽上皇臨席のもと開眼供養が行われている。室生寺の西の大門に位置し・興福寺と密接な関係を持つ寺院であったと考えられる。1900年(明治33年)の火災で全焼したが仏像等は持ち出された。
宗教
宗教
真言宗室生寺派。本尊は弥勒菩薩(秘仏)。弥勒磨崖仏は宇陀川をはさんだ対岸に位置し・寺の前からのみ拝観できる形式は「遥拝形式の磨崖仏」として珍しい。弥勒信仰と修験道(役行者開基伝承)の要素が混在する。
建築
建築
磨崖仏:高さ約30mの大岩壁に・高さ13.8mにわたって光背形に掘り窪め・内部を平滑に仕上げた上で像高11.5mの弥勒仏立像を線刻。向かって左下には円形内に種子曼荼羅(尊勝曼荼羅)も線刻。1993〜1999年に保存修理工事(苔除去・地下水流路変更)を実施。現存建物はすべて1900年火災以後の再建。境内には樹齢300年の小糸枝垂桜がある。
文化財
文化財
大野寺石仏(弥勒磨崖仏):国の史跡(1934年・昭和9年11月10日指定)。木造地蔵菩薩立像:国重要文化財(鎌倉時代・寄木造・「身代わり地蔵」と呼ばれる)。奈良県景観資産:室生大野寺の磨崖仏と宇陀川(眺望地点・登録番号086A2014)。
注意事項
注意事項
役行者開基(681年)および空海建立(824年)はいずれも「不確かな情報」であり史料的根拠が確認されていない伝承。見学の際は磨崖仏が線刻(浮彫りではなく陰刻に近い)であり光線条件によっては肉眼でほぼ見えない場合があることを事前に認識すること。