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名鑑飛騨千光寺(両面宿儺・円空仏)

S P O T / SPOT-183

土俗・奇祭

飛騨千光寺(両面宿儺・円空仏)

ひだせんこうじ(りょうめんすくな・えんくうぶつ)

岐阜県高山市丹生川町、袈裟山(けさやま)中腹に鎮座する高野山真言宗の古刹。伝承によれば1600年前に両面宿儺(りょうめんすくな)が開山し、約1200年前に弘法大師の十大弟子の一人・真如親王が真言密教の道場として建立した([飛騨高山旅ガイド](https://www.hidatakayama.or.jp/spot/detail_1657.html))。江戸時代の山林修行僧・円空が精力的に制作した仏像を多数所蔵し、円空仏寺宝館では約60体が展示される(うち円空作と確認されるものは63体)。両面宿儺像は岐阜県重要文化財に指定された円空の優作で、「日本書紀仁徳天皇紀」に記載された異形の人物の造形。

N O P H O T O

H I G H L I G H T S

見どころ

  • 01日本書紀仁徳天皇65年条記載の異形の人物「両面宿儺」——体は一つで二つの顔、四つの手に弓矢を持つ——を飛騨の守護神として祀る開基伝承
  • 02円空作仏像63体(岐阜県重要文化財)を所蔵——両面宿儺像・護法神・金剛力士立像(像高2m超の現存最大規模)
  • 03飛騨乗鞍国定公園の登山口に位置し、山岳修行道場「袈裟山千光寺」の古風を伝える

A C C E S S / M E T A

基本情報

所在地
岐阜県 高山市
住所
〒506-2135 岐阜県高山市丹生川町下保1553
拝観料
本堂:無料(拝観自由)、円空仏寺宝館:大人500円(4〜11月の土・日・祝のみ開館、12〜3月冬季休館)
時間
本堂:9:00〜17:00(無休、ただし臨時休館あり)、円空仏寺宝館:9:30〜16:30(土・日・祝のみ、4〜11月)
状態
現存
亀山から
車で約3時間30分(東名阪→東海北陸道→飛騨清見IC→中部縦貫道→丹生川方面)

D E E P D I V E

深掘り

歴史

歴史

千光寺の伝承によれば、約1600年前に両面宿儺が開山し、約1200年前(平安初期)に弘法大師の十大弟子の一人・真如親王が真言密教の修禅観法の道場として建立したとされる(飛騨高山旅ガイド)。永禄7年(1564年)に武田軍の飛騨攻めで焼失したが、後に飛騨国主となった高山城主・金森氏が再建したのが現在の堂宇である(飛騨高山旅ガイド)。現在の宗派は高野山真言宗で、袈裟山中腹に位置し山岳仏教の古風を伝える修禅観法の道場として機能している。円空については江戸時代前半(17世紀後半)に飛騨を巡錫し、千光寺を拠点のひとつとして多数の仏像を制作した記録が残る。

文化的背景

文化的背景

両面宿儺に関する最古の文献記録は『日本書紀』仁徳天皇65年条で、「飛驛国に宿儺という人があり、体は一つで二つの顔があった。顔は背き合っていて、頂は一つになり、項はなかった。それぞれ手足があり、膝はあるが、膕(ひかがみ)はなかった。力は強くて敏捷であった。左と右に剣を佩いて、四つの手に弓矢を使った。皇命に従わず、人民を略奪するのを楽しみとした。それで、和珥臣の先祖の難波根子武振熊を遣わして殺させた」(日本書紀・日本語訳「第十一巻:仁徳天皇」)と描写されている。日本書紀の記述は支配権力に服従しない飛騨の豪族を「異形の反乱者」として描くものだが、地域の伝承では逆に「飛騨の守護者・民の英雄」として再解釈されてきた。円空(1632〜1695年)は愛知・岐阜を中心に関東・北陸・北海道まで全国を巡錫した山林修行僧で、現存する作品は約5,000体とされる(美術手帖「円空仏」特集)。千光寺所蔵の金剛力士立像(像高2m超)は現存する円空仏の中で最大規模で、生木(立木仏)に直接鉈を下ろして制作したことが確認されており、日本彫刻史における平安時代の樹神信仰・立木仏に源を求めることができる(Tokyo Art Beat 特別展「魂を込めた円空仏」報告)。岐阜県重要文化財に指定された千光寺所蔵の両面宿儺像は「優作の1つ」(岐阜県公式 円空作仏像)として評価される。

地元視点

地元視点

千光寺は飛騨高山旅ガイド(飛騨・高山観光コンベンション協会公式サイト)に「飛騨千光寺 円空仏寺宝館」として掲載され、地域の重要な文化資源として位置づけられている(飛騨高山旅ガイド)。2025年1〜3月には三井記念美術館(東京・日本橋)で特別展「魂を込めた円空仏——飛騨・千光寺を中心にして——」が開催され、両面宿儺像が東京で初展示された(PR TIMES 特別展告知)。住職は近年ユニークな社会活動を行っており(千光寺公式サイト)、地域の宗教文化の現代的継承の一端を担っている。

ベストシーズン

ベストシーズン

円空仏寺宝館見学のためには4〜11月の土・日・祝の9:30〜16:30に訪問が必要(冬季休館)。秋の紅葉時(10月中旬〜11月上旬)が最も境内が美しい。本堂は通年参拝可能。

撮影のコツ

撮影のコツ

本堂周辺の袈裟山の緑と堂宇の構図が代表的。円空仏寺宝館内部は撮影ルールを確認すること(展示品によって制限がある場合あり)。金剛力士立像(像高2m超の生木から制作)は圧倒的な存在感で、正面からの構図が最も力強い。

注意事項

注意事項

円空仏寺宝館は土・日・祝のみ開館(4〜11月)。冬季(12〜3月)は完全休館。訪問前に千光寺(TEL: 0577-78-1021)に開館状況を確認することを強く推奨する。飛騨乗鞍国定公園の登山口にあたるため、周辺の山岳路は装備なしでの入山は避けること。

関連作品

関連作品

  • - 『日本書紀』仁徳天皇65年条——両面宿儺の最初の文献記録
  • - 円空学会だより(円空学会)——円空仏の研究文献・所在確認
  • - 特別展「魂を込めた円空仏——飛騨・千光寺を中心にして——」(三井記念美術館、2025年)
  • - 岐阜県指定重要文化財「円空作仏像(千光寺)」指定資料

トリビア

トリビア

  • - 両面宿儺は近年、漫画・アニメ『呪術廻戦』(芥見下々、2018年〜)の呪霊「両面宿儺」のモデルとして広く知られるようになった。本サイトでは日本書紀の伝承と飛騨の地域信仰史として扱うが、現代ポップカルチャーにおける再解釈がこの場所への注目を高めていることも事実である。
  • - 円空は生涯に12万体の仏像制作を目標としたとされ、現存するのは約5,000体(美術手帖)。
  • - 千光寺の金剛力士立像は、現存する円空仏の中で最大規模(像高2m超)で、生きた木に直接鉈を下ろして制作した「立木仏」の技法を用いている。

外部レビュー

外部レビュー

出典

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