F E S T I V A L / FEST-185
宮内の嫐(うわなり)打ち神事
みやうちのうわなりうちしんじ
鳥取県大山町宮内の高杉神社に伝わる、全国的にも珍しい『嫐(うわなり)打ち』の民俗神事。中世に流行した、先妻が仲間を率いて後妻の家を襲う『後妻打ち(うわなりうち)』の風習を神事化したもので、本妻に嫉妬した二人の官女が祟りをなしたという社伝に基づき、女神の社殿(本社・中社・客社)を建てて鎮めたことに始まると伝わる。氏子から選ばれた3人の『打神(うちがみ)』が下神主の介添えで、福尾灘での水垢離、投盃、打杖渡などの所作を経て、最後に三方から進み出て竹の杖を打ち合わせ、『本殿の勝ち』と唱えて終わる。閏年の旧暦9月15日の夜にのみ行われ、平成30年に鳥取県の無形民俗文化財に指定された。

H I G H L I G H T S
見どころ
- 01先妻と後妻の争いを竹の杖の打ち合いで再現する全国的に珍しい神事
- 02閏年(4年に一度)の旧暦9月15日の夜にだけ行われる稀少な斎行
- 03氏子から選ばれた3人の『打神』が水垢離・投盃を経て深夜に打ち合う独特の所作
A C C E S S / M E T A
基本情報
- 所在地
- 鳥取県 西伯郡大山町
- 斎行
- 高杉神社(本社および末社の客社・中社)
- 日程
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- 周期
- 閏年の旧暦9月15日の夜(4年に一度/新暦では10月下旬〜11月上旬にあたる年が多い。2024年は10月17日に斎行)
- 起源
- 『嫐(うわなり)打ち』は、中世日本で実際に行われた『後妻打ち(うわなりうち)』という風習に由来する。これは夫に去られた先妻(こなみ)が、親しい女性たちを集めて、夫の新しい妻(うわなり=後妻)の家を予告のうえで襲い、家財などを打ち壊した習俗で、嫉妬と対抗の感情を一定の作法のもとに発散させる社会的装置でもあった。高杉神社の社伝では、この地方で不幸が続いたとき、託宣によって本妻に嫉妬した二人の官女が祟っていると示されたため、女神を祀る社殿(本社・中社・客社)を建て、うわなり打ち神事を行ったところ神慮が和らぎ、住民が穏やかに暮らせるようになったと伝わる。以来、民間の風俗であった後妻打ちを、嫉妬の念を鎮め祓う神事として伝承し、閏年の旧暦9月15日の夜に斎行してきた。
- 観覧
- 斎行は閏年の旧暦9月15日の夜のみ(4年に一度)。新暦では年により10月下旬〜11月上旬にあたり、2024年は10月17日に行われた。次回は次の閏年にあたる2028年が見込まれる(2026年は閏年でないため斎行なし)。会場は大山町宮内の高杉神社。打神は当日早朝に福尾灘で水垢離を行い、深夜にかけて神事場で各種の所作を経て打ち合いに至る、夜を徹する性格の神事である。見学は可能だが、神事の進行を妨げないこと。深夜・屋外・晩秋の山陰のため強い冷え込みに備えた防寒が必須。荒天時は中止・変更の可能性があり、開催の有無・日程は事前に大山町・神社へ確認すること。
- 最寄駅
- JR山陰本線「淀江駅」または「名和駅」
- 駐車場
- あり(高杉神社周辺)
D E E P D I V E
深掘り
歴史
歴史
宮内の嫐(うわなり)打ち神事は、鳥取県西伯郡大山町宮内の高杉神社(住所:大山町宮内88付近)に伝わる民俗神事である。社伝によれば、この地方の人々に不幸が続いた際、託宣に『本妻に嫉妬した二人の官女が祟っている』と出たため、女神の社殿(本社・中社・客社)を建てて嫐打ち神事を行ったところ、神慮が和らぎ住民が穏やかに暮らせるようになったと伝わる。神事は氏子から選ばれた3人の『打神(うちがみ)』が主役を務め、『下神主』が介添えする。当日早朝、打神は福尾灘で水垢離を行って身を清め、夜に神事場へ向かい、『投盃』『打杖渡』などの所作ののち、最後に三方から進み出て打ち合いを行い、『本殿の勝ち』と唱えて終える。閏年の旧暦9月15日の夜にのみ斎行され、平成30年(2018)4月27日に鳥取県の無形民俗文化財に指定された。宮内の嫐(うわなり)打ち神事 - 鳥取県大山町, 宮内の嫐打ち神事 - とっとり文化財ナビ
文化的背景
文化的背景
『後妻打ち(うわなりうち)』は、平安末から中世にかけて記録に見える風習で、夫に去られた先妻が女性たちを率いて後妻の家を予告して襲い、家財を打ち壊すというものだった。嫉妬という個人的感情を、一定の作法と共同性のもとに集団的に発散させる『儀礼化された争い』であり、のちに歌舞伎十八番『嫐(うわなり)』など芸能の題材にもなった。高杉神社の神事は、この民俗を嫉妬の祟りを鎮める神事へと転化させて伝えてきた点に大きな特色がある。実際の暴力的習俗を、女神を祀り打神が竹杖を打ち合うという象徴的所作へと昇華させ、最終的に『本殿の勝ち』と宣することで、嫉妬・争いが秩序の側に回収される構造を持つ。男女・先妻後妻をめぐる中世の社会感情を今に伝える稀有な事例である。後妻打ち - Wikipedia, 大山町宮内の「うわなり神事」の調査を実施 - とりネット
地元視点
地元視点
閏年の旧暦9月15日の夜にしか行われないため、地元でも『4年に一度の奇祭』として特別視され、深夜に及ぶ神事を支える氏子・打神の役は重い責務とされる。鳥取県・大山町は文化財として調査・記録を進め、平成30年の県無形民俗文化財指定によって保存・継承の体制が整えられた。妻木晩田遺跡に近い大山北麓の歴史的環境のなかで、地域の人々は嫉妬と和解という普遍的なテーマを扱うこの神事を、土地の記憶として大切に守り伝えている。大山町宮内の「うわなり神事」の調査を実施 - とりネット, 宮内の嫐(うわなり)打ち神事 - 鳥取県大山町
ベストシーズン
ベストシーズン
斎行は閏年の旧暦9月15日の夜のみ。次回は2028年が見込まれる。神事は深夜にかけて進むため、夜の打ち合いの場面が最大の見どころ。日程は年により新暦10月下旬〜11月上旬にあたるため、開催年は事前確認のうえ計画する。
撮影のコツ
撮影のコツ
深夜・屋外の神事のため光量が乏しく、高感度・明るいレンズと三脚が有効。鳥居や篝火・神事場の灯りを生かした構図が雰囲気を伝える。打ち合いの瞬間を狙うが、フラッシュや進行の妨げは厳禁。係員・神職の指示に従う。
注意事項
注意事項
深夜・晩秋・屋外の神事のため、強い冷え込みへの防寒対策が必須。閏年のみの斎行で、荒天時は中止・変更の可能性があるため、開催年・日程・見学可否を必ず事前に大山町・高杉神社へ確認すること。神事の進行・神聖性を妨げない位置取りと振る舞いを守る。
出典