異界巡礼

BIZARRE JAPAN

祭暦切込の裸カセドリ

F E S T I V A L / FEST-182

naked

切込の裸カセドリ

きりごめのはだかカセドリ

斎 行2026-02-28

宮城県加美郡加美町宮崎の切込集落に伝わる小正月の来訪神行事で、宮城県指定無形民俗文化財(風俗慣習)。本来は旧暦1月15日の夜に行われ、近年は2月最終土曜に営まれる。15歳以上の男子が下帯姿となり、釜底のすす「ヘソビ」を顔や体に塗って異形に扮し、火伏せ(防火)と厄払いを祈願する。初参加者・新婚者・厄年の者は腰に注連縄を回し頭に藁束をかぶった装束を身につけ、家々を巡るのに先立って他の参加者から一斉に手桶の水を浴びせられる。その後、男たちは各家に上がり込み、家人の顔にすすを塗りつけて「ご祝儀、ご祝儀」と新年の祝言を交わし、酒食の饗応を受ける。年の改まる正月に肉体的試練を受ける通過儀礼であると同時に、神となった異装の若者が家を訪れて饗応される構造をもち、小正月の来訪行事の旧態をよく伝える貴重な民俗行事として評価されている。

切込の裸カセドリ
出典: 仙台人が仙台観光をしているブログ(https://tanji-sendai.blog.jp/article/kirikome-no-hadaka-kasedori-strange-naked-festival-kami-machi-miyagi-japan-blog-sendai-yohei.html)※掲載許諾申請中

H I G H L I G H T S

見どころ

  • 01顔と体に釜底のすす「ヘソビ」を塗った異形の男たちが、真冬の夜にほぼ裸で集落を巡る
  • 02頭に藁束をかぶり腰に注連縄を巻いた装束の男に、雪の降る屋外で手桶の水を一斉に浴びせる水掛けの場面
  • 03男たちが各家に上がり込み、住民の顔へ直接すすを塗りつけて火伏せ・無病息災を祈る来訪の儀
  • 04厳冬期・夜間という過酷な環境で行われる通過儀礼としての肉体的試練

A C C E S S / M E T A

基本情報

所在地
宮城県 加美郡加美町
斎行
八幡神社(切込集落の氏神)/行事の中心は集落の「宿」
日程
2026-02-28
周期
毎年2月最終土曜(本来は旧暦1月15日・小正月の夜の行事)
起源
切込集落でおよそ200年以上続くとされる小正月の来訪神行事で、火伏せ(火災除け)と厄払いを目的とする。「カセドリ」の名は、火の勢いを神に奪い取らせ鎮める「火勢を取る」に由来するとも言われ、火災の多い山間集落での切実な防火祈願が背景にある。すすを塗った異装の若者は来訪する神(年神・小正月の客神)に擬せられ、その神が家々を訪れて祝福を授け饗応を受けるという、東北に広く分布した小正月の訪問習俗の古い形を今に伝えている。15歳での初参加が一人前の証とされ、地域社会への加入儀礼としての性格も色濃い。
観覧
2026年は2月28日(土)19:00頃から、加美町宮崎の切込地区で実施。見学は基本的に無料。会場は集落の「宿」(民家)を起点に各戸を巡る形で、特設の観覧席や大規模な駐車場・常設トイレはない。集落の私的な行事の性格が強く、住民の生活空間に立ち入るため、地元への配慮と静かな見学が必須。厳冬期・夜間の屋外行事で雪や氷点下が常態のため、防寒・防水・滑りにくい靴は必携。水掛けや家々を小走りで巡る動きが速く、フラッシュや三脚で進行・住民を妨げないこと。アクセスは公共交通が乏しく自家用車が現実的(東北自動車道・大和ICまたは古川ICから車で約50分)。最新の日時・集合場所は加美町生涯学習課(0229-69-5113)や加美町観光まちづくり協会に確認するのが確実。
最寄駅
JR陸羽東線「西古川駅」(車で約40分/公共交通でのアクセスは極めて困難)
駐車場
特設駐車場なし(集落内に常設の観光駐車場はない)。路上駐車は厳禁、近隣の指示に従う。

D E E P D I V E

深掘り

歴史

歴史

切込の裸カセドリは、加美町宮崎の切込集落(旧宮崎町)に伝わる小正月の来訪神行事で、宮城県の無形民俗文化財(風俗慣習)に指定されている。県の解説によれば、本来は旧暦1月15日の夜に行われ、15歳以上の男子が顔や体に竈墨(ヘソビ)を塗って裸で家々を訪問し、家人にすすを付け新年の挨拶を交わして饗応を受ける行事である。初参加者・新婚者・厄年の者は腰に注連縄を回し頭に藁束をかぶり、家々の訪問に先立って他の参加者から水を浴びせられる(宮城県公式・指定文化財)。報道では「200年続く火伏せと厄払いの伝統行事」と紹介され、近年は2月最終土曜の夜に営まれている(khb東日本放送河北新報)。切込は江戸後期から明治初期にかけて「切込焼」を産した磁器の里としても知られる山間集落である。

文化的背景

文化的背景

本行事は、年の改まる正月に肉体的試練を受ける通過儀礼であると同時に、神となった異装の若者が家を訪れて饗応を受ける「来訪神(小正月の客神)」型の習俗であり、県は「小正月の来訪行事の旧態をよく伝える」と評価している(宮城県公式)。竈のすす=火を司る象徴を体に塗り、火伏せ(防火)を祈願する点に、火災の多い山間集落の切実な信仰がうかがえる。なまはげ等と同系統の、来訪する神が祝福と戒めをもたらす東北・北日本の小正月習俗の一例として位置づけられ、15歳での初参加は地域社会への一人前としての加入を意味した。なお「カセドリ」を名乗る行事は山形県上山市の加勢鳥や佐賀市蓮池町・見島のカセドリなど各地に分布するが、いずれも別個の行事であり、当地の「裸カセドリ」は裸体・すす・水掛けを伴う独自の形態をもつ点で区別される。

地元視点

地元視点

近年の報道では、参加者は集落の若者と厄年にあたる男たちで、ある年は9人ほどが参加したと伝えられる。家人は顔にすすを塗られながら「家族皆んな健康に火事なく1年過ごせれば良い」と語り、火伏せ・無病息災を願う住民の生活に根ざした行事であることが分かる(仙台放送・Yahoo!ニュースkhb東日本放送)。少子高齢化と過疎により担い手の確保が課題となっており、観光イベントというより集落が主体的に継承する私的・共同的な性格が強い。見学者はあくまで地域の暮らしの中にお邪魔する立場であることを意識したい。

ベストシーズン

ベストシーズン

開催は2月最終土曜(2026年は2月28日)の夜、19:00頃から。水掛けの場面は序盤、その後に各戸を巡る流れとなるため、開始前に集落へ到着しておくのが望ましい。雪明かりや家々の灯りの中で行われる夜間行事で、日没後の冷え込みが最も厳しい時間帯と重なる(宮城まるごと探訪)。

撮影のコツ

撮影のコツ

見どころは、藁束をかぶり下帯姿の男に手桶の水を浴びせる屋外の水掛けと、雪の中を疾走する異形の男たちの姿。夜間・降雪・高速の動きという三重苦の条件のため、高感度設定と明るいレンズ、被写体ブレを生かす表現が有効。フラッシュは進行や住民の目を妨げるため極力避ける。家屋内へ上がり込む場面は私的空間であり、住民の許可なく踏み込んだ撮影は控える(河北新報)。

注意事項

注意事項

厳冬期・夜間の屋外行事のため防寒・防水・滑り止めは必須。会場は集落の生活空間そのもので、特設駐車場・常設トイレ・観覧席は基本的にない。私的・共同的な行事の性格が強いので、住民の指示に従い静かに見学し、敷地・家屋内に無断で立ち入らないこと。水掛けの飛沫や走り回る参加者との接触に注意。公共交通が乏しく自家用車が現実的だが、夜間の雪道運転に備える。最新情報は加美町生涯学習課(0229-69-5113)等に確認を(宮城まるごと探訪)。

出典

出典